Agri-BIZ

日本の食料自給率が2006年金額ベースで40%を切ったそうだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E6%96%99%E8%87%AA%E7%B5%A6%E7%8E%87
世界の先進国との比較においても、日本は他国と比べて相当に低い。
http://www.e-shokuiku.com/jyukyu/13_2.html
食料自給率が低いことはナショナル・セキュリティ(national security)の観点から好ましくないと一般的にされている。
農水省(Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries)は食料自給率の部屋なるものをwebで作っている。
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/jikyuuritsu/index.html
食料自給率を維持するために、国外からの安価な輸入物に一定の関税をかけることで、
?国内の自給率を維持する農家を守り、?自給率を守ってナショナルセキュリティを確保する、
というロジックだ。

浮かぶ疑問点は
?食料自給率を守ることがナショナルセキュリティの確保になるのか?
?その方策としての関税は消費者に当然不利だが、農家にも不利はないか?
という点。

?については、まず、国で統計したこの数字に意味があるのか?ということだと。
たとえば、東京では極端に自給率は低いが、穀倉地帯に行けば高くなるだろう。
物流は相応に進歩しているし、
世界各国で例えば米の栽培がかつてほど偏在しているわけではない。
有事に備えということであれば、経済的インパクトを抑える・物流を確保するということが重要なので、
都市機能を維持するために、国自体の自給率ではなく、東京自体の自給率を上げろという話になってしまう。
自給率という数字自身より、食料を調達できるパイプを幅広く確保するということがナショナルセキュリティ上では重要なのではないか?
もひとつ、輸入するための外貨の調達が将来不安だから、輸入は駄目だと主張するのは変だ。
まさに、外貨リスクこそ、この場合政府が負担すべきリスクで、それを理由に輸入できなければ、それは食物以外の生活必需品全ての輸入も否定されることとなる。
しかしそもそも外為マーケットの存在を知らないのだろうか?
しかもその外為マーケットは主要決済通貨に対して将来円高方向になっている。
例えば、米ドルなら5年後は100円を切るとマーケットは予想している。

?消費者すなわち国民は国を通じて、農家への補助金という形でコストを支払っている。
一方で農家では、国から価格保証である程度買取りされる為に、
競争市場対比で明らかにコストの高い食糧を生産している。
仮に、自給率維持という名目ならばその全てに対してコスト高・高品質の食糧生産に振り向けられるのは非効率ではないか(これは経済効率の議論)?
また、流通が国によって長い間固定されているために、余計にコストがかかっているのでは(これは既得権益の議論)?

コスト(=付加価値と信じている)高の高品質は、それを嗜好する消費者の元に届けるのが、
健全な市場、仕組みだと思う。日本は所得分布として他国と比較しても格差はまだ小さいので、
付加価値の高い食糧を需要する受け皿としては物足りない。
であれば、これらは海外の富裕層に供給したほうが、多様性もあればカネもあると思う。。
たとえば、外から日本に輸入される“コシヒカリ”は世界最高品質との評価になるそうだ。
それでも国内産のものと比べると甘さ・粘りは劣るらしい。ならば、市場に国内産のコシヒカリがでれば、それらよりも高い価格で取引可能だ!
一方、安いものは世界各国からどんどん輸入してもよいのではないかと思う。
世界各国のコメ生産者が日本の関税が下がるのを狙って待っている。

しかも、国内生産より遥かに価格は安い。
品質の表示や保証といったものがしっかりすれば促進されると思うし、
国は、補助金にコストをかけるのなら、そういった流通の健全性にコストをかける方が・・・(以下略)。
現在のシステムでは、周囲の環境がグローバル化しているだけに、
農家の生活にとっても、消費者にとっても、政府にとっても非効率性が以前と比べて相対的に高まっていると思う。